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耐久レースの戦い方《 Recipe》
2020/09/16 最新情報

《Recipe》

スプリントレースがその場、その時の純粋な速さを競うのに対し
耐久レースはしっかりと作戦や予定、目標を立てて如何にその予定通りに走り切るかを競うレースです。

行き当たりばったりですと、スプリントレースの如く猛プッシュを続けても息切れするしミスが出やすく、綿密に計算され準備を尽くしたチームに簡単に負けてしまう事も多々あります。
ですから、参戦決定の後は十分な準備が必要です。

そうはいってもでは何から組み立てていけば良いでしょうか?

1)チームの監督、エンジニア、チーム代表に当たる仕事をする人は、先ずしっかりとレギュレーションブックを読みましょう。

参戦レースの特別規則書は勿論の事、当該サーキットの一般競技規則書も熟読し、両方のルールを守って参戦しなくてはなりません。


例えばツインリンクもてぎの規則書には第一章、2条9項に
車両改造に関する違反を行ったドライバー、参加者、チューニングショップはツインリンクもてぎに於いて最高1年のレース出場が拒否される場合がある。
と書かれています。
これは参加者全員がお互いを信頼しルールを守って参戦している事を前提としているので、
裏切者には非常に大きな罰則が有りますよ。
と言う事です。
安易なルール破りは多くの人に迷惑をかける事となりますので注意が必要です。


 

2)ドライバーは何名で誰がどのくらいのラップタイムで何周又はどれくらいの時間走れるの? 

どんなに強い耐久チームでもドライバーには速さ、強さには明らかに差が有ります。冷静に実力を判断し作戦を立てる必要が有ります。

 

3)参戦するレースの時間や距離はどのくらいですか?

4)自車の燃費はどれ程で、燃料タンク容量はいくつで、ガス欠まではどれ程走れるの?

つまり1スティント最大何周出来るの?
ここまで解れば、給油回数や給油時間が割り出せます。

これ等のパズルをうまく組み合わせる事が出来れば耐久レースを走り切れます。
ところが、予期せぬ問題が発生するかもしれません。

【面倒な事その1】天候

雨が降る、又は雨が上がると言った状況です。
オールウエザータイヤを使う車両はタイヤ交換の必要はないかもしれませんが、雨によりラップタイムの低下に伴って予定の周回数をこなせない事、また燃費も良くなりますからピットストップタイミングをずらしたり、減らしたりする事も可能になります。
ピットストップのルールに従って作戦変更を強いられるかもしれません。

 スリックタイヤを用いる車両は雨が降ればレインタイヤへの交換が必要になりますから、
ピットストップタイミングの変更を強いられますし、逆にウエットスタートから路面が乾く方向ですと、スリックに交換のタイミングが非常に難しくなります。
巧く給油、ドライバー交代のタイミングにてタイヤ交換も出来ればピットストップ回数も減りますが、そうでない場合大きく遅れてしまう事も考えられます。

【面倒な事その2】トラブル

コース上でのアクシデントもトラブルですが、接触等で自車が壊れる事も想定しておく必要も有ります。
多少の接触でボディーカウルや、ファスナーが壊れた時の用意として応急修理のガムテープやタイラップ、エアガン、ウエス、手工具等きちんと準備して置けば短時間で、最小限の応急修理は可能です。

巧くパズルを組み合わせても、思わぬ面倒な事が降りかかり作戦が巧く遂行できない事もありますが、それでも巧くリカバリーする第二案、三案を考えておくとライバルチームを出し抜くことができるかもしれません。

 


コース上のライバル達は同じモータースポーツを愛する仲間でもありますから、お互いにリスペクトし正々堂々と戦うと同時に助け合う事も必要です。
耐久レースのピット作業、特に給油は危険が伴います。
国内のスーパーGTレース等でも、時々ですが小さな火災は発生しています。
満タン給油や、給油リグの不具合で車両から給油リグを抜いた瞬間、
ガソリンのスプラッシュが気化し出火する事が有ります。残念な事に、火が出た当該チームのクルー達はタイヤ交換等の自分の仕事に集中しており出火にすぐには気付きません。

勿論当該チームも一人は消火器をもって構えているのですが、一人だけではとても消し止めるには至りません。
しかし、殆どの場合周りのチームのスタッフが大勢自チームのCO-2消火器を持って来て消火作業にあたり、瞬時に消し止めてくれるので大事に至らないのです。
殆どの場合消し止めてくれるのは出火したチームクルーでは無くて周りのチームクルー達なのです。
彼らは給油作業がどれ程危険でであるかを熟知しており、ライバルチームも同じ仲間であると言う意識があるからこその行動だと思います。


 


ここで消火剤がCO-2であることが非常に重要であります。
CO-2は炭酸ガスつまり噴出した後は気体ですから、汚れません。
ガソリンのスプラッシュへの引火、ブレーキディスク熱によるタイヤカスの引火等、
ボヤ程度であれば、火を消し止めた後はそのまま何もなかったかの如くレースに復帰する事が出来ますが、粉末消火剤を使いますと、掃除が必要となり車両は無傷でもレース復帰は不可能です。

特に他チームの火災を消し止める際は粉末消火器を使用しますと、後でひんしゅくを買いますので、くれぐれもCO-2消火剤を使いましょう。
勿論、車両が燃え上がるほどの大火災ともなれば、あらゆる消火剤を駆使して消火に当たる必要が有りますが、ピット作業中の火災の殆どの場合は周りのクルーの手助けでボヤ程度で大事には至りません。