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鈴鹿クラブマンRd.3CS2クラス
2021/06/25 レポート

鈴鹿クラブマンレース第1戦 CS2

6月19〜20日 鈴鹿サーキット

鈴鹿サーキットを舞台に「鈴鹿クラブマンレース第3戦」が、6月19〜20日に開催され、
今季2回目のレースとなるCS2には、10台がエントリー。
前回は「MEC60」として60分間のセミ耐久で競われたこともあり、今回が今季初のスプリントということになる。
さらに加えるならば、昨年まではRSとの混走だったため、初のCS2単独でのレースにもなった。

午前前に練習走行が、そして午後に予選が行われた土曜日は雨に見舞われてしまう。
日曜日は天候回復が告げられているものの、決勝のスタートは早朝とあって、路面はまだ濡れたままである公算は高い。

そのため練習ではウェットセットも詰めることが求められ、予選では変化し続けるであろう路面状態に対し、いかにベストなタイミングでアタックできるか。
いきなり厳しい課題を課せられることとなっていた。

予選は13時30分から20分間の計測。案の定、雨は降り続いたまま。そんな状況において、先頭でコースインし、まずトップタイムをマークしたのは、午前の練習走行でもトップタイムを記していた、金久憲司選手だった。2分41秒460をマークした後、2分41秒393に短縮するが、間髪入れず逆転したのは、2分41秒338をマークした、いむらせいじ選手だった。

その後、金久選手といむら選手はシーソーゲームを繰り広げる。
金久選手が2分40秒617でトップに返り咲いたかと思いきや、その次の周にはいむら選手が2分40秒347を記し、さらに1周後には金久選手が大幅な短縮を果たし、2分38秒728に。
これで決まりかと思われたものの、いむら選手は2分38秒683でわずかながらも上回ったのも束の間、ラストアタックで金久選手は2分38秒099にまでタイムを絞り出し、逆にいむら選手は自己ベストを記したものの、2分38秒668をマークするに留まり、金久選手がポールポジションを獲得したかに思われた。

だが、金久選手の渾身のラストアタックはスプーンでの四輪脱輪を伴うものだったため、そのタイムは抹消に。これにより、いむら選手がポールポジションを獲得し、金久選手は2番手。

3番手は2分42秒873をマークした東督也選手が獲得し、

4番手は伊藤豊選手。

これに吉村一悟選手、

依田学嗣選手が続いた。

一方、前回のウィナーのひとりである松本吉章選手はパドルシフトのトラブルで、計測ラインを一度通過するだけ、さらに見崎清志選手は1周満足に走ることもできず、エンジントラブルのために、それぞれピットに戻らざるを得ず。しかしながら、決勝への出走は後方グリッドから認められることとなった。

ポールポジション:いむらせいじ選手(オートルック16C)

「CS2は昨年の最終戦以来で、金曜日から走ったんですけど、雨は久しぶりだったので、練習走行は丁寧に、壊さないように走って、タイヤの皮むきを済ませておきました。
その時のタイム見て、ポール獲れるかなと思っていたんですけど、金久選手も速くってね。
リスクも背負いながら行って、ずっとプッシュして走っていました。明日、ドライなんだから、そんなに頑張らなくてもいいじゃない、って後から思ったほどでした(笑)」

予選2番手:金久憲司選手(ONE LAP COATアシスト青春親父16C)

「雨はずっと同じぐらいで、水溜りも多いし、ストレートでもハンドル取られるし、1コーナーでは2回、まっすぐ行きかけました。怖かったけど、終わり良ければすべて良し、ってなるとかと思いましたが、頑張りすぎてスプーンのふたつ目、緑のところまで行っちゃいました。
せっかくトップ獲れたかと思ったのに! 明日はドライみたいなので、そうなったらいむらさん、速いからまいったなぁ」

予選3番手:東督也選手(EAST EYE CLINIC GRID)

「みんな速いんで、頑張っただけなんで、結果はちょっと意外でした。
午前中も同じぐらい出ていたので、タイムはそんなものかと。前にクルマがいると運転しづらいので、ちょっと間を開けて、最後の方でアタックできたので、良かったです」

予選は結局、もう1クラス行われただけで、天候の回復が見込めないことからキャンセルされて、日曜日の早朝に順延されることとなった。
そのため、スケジュールは大幅に改められて、CS2の決勝は早朝から行われる予定だったが、8周の予定はそのままに、10時35分のスタートに変更。
雨は未明のうちにやんでいたものの、早朝に行われた予選は路面の一部にウェットパッチを残していたため、当初の予定どおりであれば、スリックタイヤを履くCS2にとっては厳しい条件を課せられていたかもしれない。


決勝6/20(日) 10:35〜


 

いずれにせよ、CS2の決勝を迎える頃には、路面は完全にドライコンディションに。予選を満足に走れなかった、松本選手と見崎選手のマシンはしっかり修復されて、グリッドに並べられていた。

 

スタートを決めたのは、ポールシッターのいむら選手。

しかし続く金久選手と東選手も遅れず続き、早々に3台でのトップグループを形成する。

しかし、テール・トゥ・ノーズでのバトルが続いたのは3周目まで。

そこから先は、いむら選手がファステストラップの連発で一気に逃げていくように。金久選手も引き離されまいと、必死のプッシュで東選手を引き離していったが、いむら選手との差は広がるばかりだった。

一方、その後方で光ったのが、松本選手と見崎選手の追い上げだ。

1周目を終えた時点で6番手に上がっていた松本選手は、2周目の1コーナーで、そしてシケインで1台ずつかわして4番手に浮上。

見崎選手も1周目を終えて7番手に浮上し、その後も前を行く車両を果敢に攻め立てる。

5周目の1コーナーで吉村選手を抜いた後も、伊藤選手に何度も襲いかかった見崎選手ではあったが、互いにクリーンなバトルを演じた結果、逆転はならず。松本選手もそれ以上、順位を上げることはできなかったが、トップ3台の順位変動は最後までなかっただけに、ふたりがレース盛り上げに貢献してくれたのは、言うまでもない。

ほぼ5秒の差をつけ、逃げ切ったいむら選手は昨年の9月に行われた第5戦以来の優勝。

また2位でゴールの金久選手はランキング2位に浮上し、4位でゴールの松本選手に5ポイント差に迫ることとなった。

東選手はCS2では初めての表彰台獲得に。

ウィナー:いむらせいじ選手(オートルック16C)

「スタートはまぁまぁ良かったんですけど、タイヤを温めきれずに1周目の130Rで飛び出しちゃって。
ちょっとマージンあったのでトップを守れて、そこから先は落ち着いて、ミスのないように走っていました。
実は130Rで飛び出した時にフロアを打って、ハンドルのセンターがずれちゃったような感じだったんですが、走れないほどじゃなかったのはラッキーでした」

2位:金久憲司選手(ONE LAP COATアシスト青春親父16C)

「この差は実力でしょう。離れたのは、自分がミスしたからで。3回も130Rで危ないのがあって、2回飛び出してしまいました。最後まで攻めるつもりで走って、ちょっとでも縮めようと思って、意地になった結果でね。
この歳になって、それができるのは幸せなことです。端から見たらバカかもしれんけどね、
『おっさん、何しとんの』って(笑)。次また、頑張ります」

3位:東督也選手(EAST EYE CLINIC GRID)

「だんだん引き離されましたから、途中から3位をキープできたらいいなって、気持ちを切り替えて。
自分のペースで、あまり欲を出さず、ミスなく走りきることを心がけました」


鈴鹿クラブマンRd.3 『Pick Upドライバー』

見崎 清志選手

さて、今回6位でのゴールとなった見崎選手。
日本のレース創世記を飾った、レジェンドドライバーですが、近年はFCR-VITAを中心にレース活動を続け、今年からCS2にも出場することとなりました。

→ところで見崎選手、おいくつになられました?

「75歳になりました。何歳でもできますよ、やる気があれば。
別に、家に閉じこもって、盆栽いじりする必要ないじゃない(笑)。気持ちは全く変わっていません。
でも、気力だとか体力はね。体力はまぁ、毎日ジム行っていますから、このぐらいのクルマだったら、まったく問題ないんですよ。
あと、目。動体視力。これもいろんなトレーニングがありますから、動体視力を上げるための。
それもやっているから、だいぶ効果が出てきましたよ。
やるとやらないとでは全然違って、ただボーっとしていると、ただのおじいさんになっちゃうから、やることやっておかないと。やれば、まだまだインプルーブしますからね」

「でも、気力。気持ちだけはなかなかね、難しいですね。根気がなくなるっていうのが、よく言われるでしょう、歳とると根気がなくなっちゃう。それを1ラップでも伸ばそうと、今いろいろやっています」

→今年から始めたCS2の印象は、いかがでしょうか? 以前、乗っていたレーシングカーと比べたら……。

「F3よりは全然遅いし、まぁ初めての経験ですよね、昔はもっとパワーのあるクルマばっかりでしたから。
それから比べるとパワー的に、からだは楽ですけど、これにはこれの難しさがあります。
僕はVITAよりCS2の方が好きですね。というのも、こっちはスリックタイヤだから。
自分の好みのセットにすればするほどタイムは上がっていく。
VITAはラジアルタイヤだから、なかなか反応してくれない。あれはあれで競争激しいので面白いですけどね」

→同世代のレーシングドライバーで、今も走り続けているのは、もう見崎さんだけになってしまいましたが……。

「歳とったからレースやめたって人、僕の仲間でも多いんだけど、唯一の大好きなことじゃないですか、
無理してやることはなくて、趣味としてやればいいんだから、うん。
今さら『お金くれ』って年齢じゃないから、趣味は最後までやるべきだと思います。

みんな、やりたいはずなのに、やれプライドとかいろいろ言っているんだけど、プライドなんか関係ない、やりたかったら、やればいい。僕もあと2〜3年、頑張るつもり。5年は無理。80歳じゃ無理でしょう。いいとこ2〜3年でしょうけど、それもからだのコンディション次第でしょうね」

なんとも心強い、いやタフな見崎選手のコメント。心に染みます。でも、あと2〜3年と言わず、まだまだレースを続けてくださいね!

記事:秦 直之さん


VITA(CSクラス)の兄貴分CS2。
今年は鈴鹿CS2クラスにあのレジェンド見崎清志選手がエントリー。
今年75歳でこのマシンを操る。
『とにかく走ることが好き』その姿は『カッコイイ』の一言。
そして尊敬に値する。
70代になってもモータースポーツ。
『お洒落な大人の遊び方』かもしれない。

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