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オートポリスRd.2
2021/05/06 レポート

ゴールドカップ VITA シリーズ第 2 戦 レースレポート
5 月 2 日九州にあるオートポリスにてゴールドカップ第 2 戦が開催された。

レース当日の朝、オートポリスには青空が広がっていた。
しかし二日ほど前から日本海西部上空に寒気を伴った低気圧が流れ込む影響で、強い風と 春とは到底思えないほどの肌寒い気温にサーキットは包まれていた。
4 月に開催されたゴールドカップ開幕戦は霧の為に中止となり、実質この第 2 戦が開幕戦と なる。
しかし霧の次は強風が我々に試練を与えんとばかりに吹き抜けていく。

サーキットの上を白い大きなかたまりの雲たちが滑るように通り過ぎ、
時折黒い雲が通り 過ぎる時はパラパラと雨粒を落として去っていく。
その度にドライバーやチームスタッフ 達がピットから出てきては空を見上げる光景があちらこちらで見受けられた。

今回のエントリーは、ACE クラスの 2 台を含めて合計 13 台。
予選は予定通り 11 時 15 分から始まった。
気温 9 度、路面コンディションドライの中、色とりどりの VITA が次々とサーキットへと 流れていく。路面温度が低い為、タイヤに熱を入れながら各ドライバーがアタックを開始 するタイミングを見計う。
そして#39 阿部貴一選手が 3 周目に 2 分 09 秒 863 を 10 秒の壁を切り崩しトップに躍り出 る。

これを機に、「阿部選手に追いつけ!追い越せ!」と言わんばかりに #33 稲垣光司選手も 4 周目に 2 分 09 秒 900 とトップの阿部選手と僅か 0.037 秒差まで詰め寄る走りを見せるがあ と一歩及ばず。
3 番手には今年 ACE クラスからクラスチェンジした#7今岡達哉選手が 2 分 10 秒 084 を記 録。
そして上から順に、#50 藤吉健一選手、#61 山浦資智選手、#61 テツ清水選手、#66 サンデ ー選手、#92 北川和文選手と、蓋を開けてみればトップから 1 秒以内に 7 名が犇めき合っ ている状況となった。8 番手となった#42 正岡慶之選手も 2 分 10 秒 958 で、トップとの差 1.095 と僅差で 1 秒以内届かず。

この結果を見ると、決勝戦はワンサイドゲームには到底ならないと予感させる予選となっ た。

―――予選インタビュー(トップ 3)

ポールポジション #39 阿部貴一選手
「昨日の練習から手応えを感じていて、これなら新品のタイヤでトップを狙えるぞと。 そして結果うまくいきました。 実は去年一年間は訳あってレースをお休みしていたんです。
で、今年走ってみるとなかな か思うようなタイムが出ない。12 秒辺りをウロウロといった感じで。
それで、『これじゃ駄目だ。気持ちを強く持って走るぞ!自信を持って走るぞ!』と心に活 を入れて走る様にしたら、再び良いタイムが出るようになったんです。 風の影響もそこまで感じなかったですし、決勝もこの勢いで頑張りますよ!」

予選 2 番手 #33 稲垣光司選手
「トップと 0.037 秒差。この『ほんのちょっとの差』が、ですね…。
まぁこれがなかなか 難しい(笑) 欲張っちゃうと駄目というか。ベストラップを出した次の周は車が暴れちゃって。
マシンもすごく乗り易く仕上がっていたんですが、やはり平常心を保つというのは、難し いものですね(笑)。
他の選手のタイムを見ると決勝は混戦になると思うので、
安全に周りを見ながらチェッカ ーを受けることを目標に頑張りたいと思います」


予選 3 番手 #7 今岡達哉選手
「ごめんなさい。正直言いますと今までの練習で新品タイヤを一度も履いたことがなくて (笑)。
新品タイヤだとどの位のレベルでグリップするか分からなかったんですよね。
で、いざ予選を走ってみると、想像以上にグリップするんでもうビックリしちゃって(笑)。
『これならもっと踏める!』という感じで。
それが今回の順位に繋がったんだと思います。 でも、もうちょっと欲を言わせてもらうと、僕が想像していたタイムよりちょっと遅かっ たなと。まだ(電子スロットルの)アクセルを戻す時の感覚がイマイチ掴めてないんですよね。
決勝はなんとか上の方に付いていけるように頑張りたいと思います」

《🏎PIT風景》↓クリックで拡大


《決勝》

決勝戦予定時刻は 14 時 15 分。
時計の針が 14 時に差し掛かる頃には、決勝戦に向け各チームの動きは慌ただしくなり出走 準備が進んでいく。 そして一足先に決勝レースを終えたツーリングカーがピットロードに戻ってくる頃には、 いつの間にか空は白一色に覆われ、風雲急を告げるかの如く西の方ら真っ黒な雲がサーキ ットへと向かってきていた。

全車がグリッドに付き、決勝戦が今まさに始まろうとした時をまるで見計らったように
ポ ツリポツリと雨が落ち始めた。
フォーメーションラップが始まる頃には雨粒も大きくなり、次第に路面を鈍い色へと変化 させていく。

フォーメーションラップの後、グリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブ ラックアウト。
それを合図に一斉に駆け出しすシンたち。



その中でも抜群のスタートを決めたのは 3 番グリッドの今岡選手。
ポールシッターの阿部選手を右から抜き去りそのままホールショットを奪うことに成功。
だが勢い余って立ち上がりで少しアンダーを出してしまう。
その一瞬の隙を逃さなかった阿部選手は、今度は返す刀で今岡選手を右から抜き返しトップの座を奪い返す。


後方では8番手の#92 北川選手と9番手の#42 正岡選手が1コーナー手前で#66 サンデー 選手をパスしポジションアップ。
一方の 2 台にパスさたサンデー選手は、1 コーナーでハーフスピンを喫しすぐさまコースに 復帰するも順位を大きく落としてしまう。

オープニングラップの上りセクション、さよりんブリッジ下左コーナーで#37 テツ清水選手 と正岡選手が軽く接触し 2 台ともスピン。すぐ脇を走行していた北川選手も芝生へとコー スアウトしたがなんとか最小限のロスで復帰に成功する。

スピンの後、なんとかコース上に留まったテツ清水選手と正岡選手であったがレースに復 帰するまでに時間を要し、正岡選手は 12 番手まで、テツ清水選手は最後尾までドロップし てしまうこととなった。
波乱なオープニングラップを終えた段階でポジションを上げたのは、今岡選手が 1 つ上げ 2 番手。

10 番手スタートの#8 小西選手が 3 つ上げて 7 番手に。

12 番手スタートの#70 山下選手は 2 つ上げて 10 番手。

そして最後尾スタートだった#5 與那覇選手に至っては 8 つ上げての 5 番手と大幅ジャンプ アップに成功。

トップの阿部選手は今岡選手と稲垣選手を引き連れ、2 周目に突入。
この 3 台での戦いがこれから繰り広げられるかと思われた矢先のジェットコースタースト レート立ち上がりでトップの阿部選手が痛恨のスピン。 そのまま勢いよくガードレールにリアをヒットさせ無念のリタイアとなってしまった。 「立ち上がりでアクセルを少しラフに開けてしまって。それでトラクションが一気に抜け てしまった」と阿部選手はレース後に語ってくれた。

リタイアとなった阿部選手からトップのバトンを受け取り、前を遮るものが一切なくなっ た今岡選手は、
まるで水を得た魚のように濡れた路面を物怖じせず後続を毎周ごとに 5 秒 以上も広げていく走りを見せ、
5 周を終えた段階で 2 番手の稲垣選手とのギャップは 20 秒 にも広がっていた。

一方で、5 番手スタートだった#61 山浦選手はオープニングラップでは 2 番手の稲垣選手と の差が 14 秒ほど開いていたが、怒涛の追い上げで 4 周目を終えた時には 2.5 秒ほどに縮め、 稲垣選手にとっては藤吉選手と山浦選手からのプレッシャーを受ける厳しい展開となった。

レースが大きく動いたのは 5 周目。ジェットコースターエンドで正岡選手がコースアウト となったものの辛くもコース復帰を果たす。
そして次の 6 周目には北川選手。7 周目には藤吉選手が、同じくジェットコースターエンド でコースアウトして双方共にリタイアとなってしまった。 藤吉選手曰く「コースアウトして停まっている北川選手のマシンに目が行き過ぎてしまっ て…。気づいたら自分もラインを外してしまいその先でコースアウトする羽目になってし まいました(苦笑)」

2 台のマシン回収の為、8 周目にセーフティーカ―が入り先導することとなる。

そして、そのまま今岡選手を先頭にチェッカーを迎えるという展開で決勝戦を終えた。

今岡選手は VITA シリーズ参戦 3 年目にして嬉しい初優勝を飾った。

表彰台の真ん中に立つ今岡選手は何度もガッツポーズをして優勝した喜びを噛みしめてい た。

そして表彰式が終わる頃には先ほどまで降り続いた雨は止み、雲の隙間から青空が。 雨の影響で混迷を極めたゴールドカップ第 2 戦はこうして幕を閉じることとなった。

優勝 #7 今岡達哉 選手 インタビュー
「ポールの阿部さんとは随分長いこと違うカテゴリーのレースで走っていて、とても信頼 してる人なんです。
ですからスタートで阿部さんのイン側に飛び込む時も、阿部さんは無理に閉めてはこない だろうと信じてイン側に飛び込みました。
前が阿部さんじゃなかったら、あそこまで飛び込む勇気はなかったですね(笑)。
その後、1 コーナーで自分がアンダーを出してしまった時、阿部さんがインから迫ってきた のが見えたんですけど、僕も無理に閉めようとはしなかったですね。
そういった意味では、阿部さんとてもクリーンなバトルができたと思っています。
あと初優勝も嬉しいんですが、新品タイヤを 1 セット頂けたことは何より嬉しいですね!」
※VITA シリーズでは様々な特典が用意されているのも魅力のひとつでもある

2 位 #33 稲垣光司 選手 インタビュー
「(雨が)非常に厳しかったですね(笑)。 急に雨は降ってきて、路面コンディションはウエットで水しぶきで前は見えないからどこ を走ったらいいかとか、すごく我慢のレースでした。
ただただコースに留まりチェッカーを受けることを意識していました。
途中後ろに数台付かれましたけど、そこは『お先にどうぞ』という気持ちで走ってました が、
途中からはもう本当に雨が厳しくて自分が走るのに精一杯でした(笑)。
アドバイザーの菅さんは、「今年のシリー中に表彰台に上る」という目標に掲げていたよう なんですが、
それを早々に達成できたので『では次のステップに行きますね』と先ほど言 われました(笑)」

3 位 #61 山浦資智 選手 インタビュー
「グリッドに着いた瞬間の雨。
大変だったけど雨に助けられたことも多かったですね。
まずスタートでいきなり 5 速に入っちゃって(笑)。それで後ろに下がっちゃって。
でもそこから 3 位まで追い上げれたんで楽しかったですね。
ただ、セーフティカ―が入ったままレースを終わらせるのはやめてくれと。 あそこで最後一周あったら分からなかったですよ(ニヤリ)。前を抜けたかもしれなかったか ら。ま、逆にピンチだったかもしれないけど(笑)。
でも楽しいレースでした。」


【ドライバーピックアップ】

#8 小西隆詔 選手
マットブラックのボディにゴールドのライン。
そしてヒョウ柄が印象的で未だかつてこの ような VITA は見たことない注目度が半端ない stillway☆VITA
真意のほどは分かりませんが、小西選手は「大阪のオバちゃんをイメージしました」と語 ってくれました。
「このカラーリングで、マジ耐の Magical デザイン賞を狙ってるんですよ(笑)。

↓※マジ耐とは7月にオートポリスで開催される5時間耐久のこと。

実はちょっと前によそのサーキットでクラッシュして、ここに間に合うか微妙だったんで すが、
ギリギリ間に合ったので本当に良かったです。
今回は国際 B ライセンスを取得する為に VITA とツーリングカーのダブルエントリーです」
小西選手、ダブルエントリーお疲れ様でした。
とても明るく楽しいチームだと、小西選手の人柄をはじめそう感じました。 今後のレース活動も楽しみにしています。

#5 與那覇朝巳 選手
與那覇選手が VITA に初めて乗ったのは、随分前に岡山国際サーキットで体験走行に参加し た時だそう。
その時は 30 分を 2 セットの走行で VITA の魅力に嵌り、いつしか VITA のレースに出たい と思っていた。
と與那覇選手。
「ありがたいことにお声が掛かって VITA に乗れる機会に恵まれました。
まだまだタイム的に他の方と戦えるほどではないですけど、まずはチェッカーを目指した いと思います。」
そうコメントしていた與那覇選手でしたが、いざ蓋を開けてみると
最後尾スタートから 5 位でチェッカーを受け大金星。
これを機に、ますます VITA レースの魅力に嵌って欲しいですね。
※後の正式結果で、順位がひとつ繰り上がり 4 位となりました!

#33 稲垣光司 選手 日本にあるサーキットの中で一番好きなサーキットはオートポリスだと仰る稲垣選手。
そんな稲垣選手はオートポリスでのレース経験は FIA-F4 なのだそう。
「オートポリスは本当に良いですね。コースもとても面白いし、周りの景色もとても素晴 らしい。
もともとはレースをオーガナイズする側なのですが、コロナの影響でそれが出来ないので 空いた時間ができたんですね。それで、『じゃあ今のうちにレースをしよう』となりまして (笑)
いろいろなシステムが付いている今のツーリングカーと違って、
VITA はとてもシンプルなので純粋に自分の速さを磨くには非常に良いと思います。」
開幕戦は霧の為に中止となりましたが、第 2 戦で表彰台 2 位を獲得。
稲垣選手、おめでとうございます。

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オートポリス愛を感じるコメントを沢山頂きとても嬉しく思いました。

記事:写真 池田幸司さん

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オートポリスRd.2VITAレースレポートが届きました。
ここのエントラントの車好きは熱く、
車の魅力とは・・という原点を思い出させてくれる楽しい空間です。
そんな魅力をたっぷりと、今回も写真と記事に表現してくれました。
モータースポーツの魅力を運んでくださるメディアの方の偉大な力。
笑顔あふれる素敵なショット、たくさんありがとうございました。
7月の5h耐久レースでは、素敵な車好きの熱いドラマが開催されます。
多くの笑顔に出会えます。
とても楽しみです。

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